2001.3.17

 

 

数日前の、深夜。

レンタルビデオを返しに、夜道を歩いていると、

ふと、

いつもと違う気配に気づく。

 

確かに、まだまだ、寒いのだけど

肌を刺し貫くように尖っている冷気ではなく、

どこかしら丸みを帯びた、柔らかい夜風。

 

 

 

 

 

そして、風の凪いだ瞬間に、束の間の、仄かな香り。

鮮やかに浮かびあがる、紅の花。

 

 

 

 

 

あたかも、幽玄。

朧に映える、白い花。

 



 

いつの間に、冬は通りすぎたのだろう?

 

三寒四温。

弥生の寒は、どこかしら冬のそれとは決定的に異なる気がする。

それは、たとえば、春の暖かさへ向けて、大地が力を蓄えている、

ジャンプする前に、しゃがみこんで、渾身の力を込めている、

そんな風に、期待に満ち溢れた緊張感を感じさせる寒さ、なのかも知れない。

 

 

 

Camera:Kodak DC25

(C)2001 Kouichi Suzuki